農地転用とは


建物を建てようと思ったとき、実は次から次へと色々な申請をして許可を取ったりしなければならないことが多く大変なのです。
新しく買った土地や先祖代々の土地に家を建てようと思っても、そこがもし田んぼや畑といった農地だった場合、家を建てられません。 

さらにそこが農業振興地域の場合、手続きはより複雑で、諦めなければならない可能性も出てきます。 
農地転用ができても、その土地がでこぼこして宅地造成が必要なら勝手に工事が出来ない時があります。 
建築予定の建物が一定地域で一定以上の建築物ならその土地の開発許可も必要になります。 

さらに建築物によっては建築確認を得る必要もあり、地区によっては住民による建築協定を作っていることもあります。 

また農地は相続手続きがきちんと行われていないことがよくあるので、登記簿等で調査することも必要です。 
農地転用の専門家を使って、複雑な処理も手際よく進めたいものです。
農地の区分農地により、区分が分かれています。
農地区分には下記のようなものが挙げられます。

甲種農地 

市街化調整区域内にある農業公共投資の対象となった農地(事業完了後8年以内)、高性能農業機械による営農に適した集団農地。
農地転用は原則不許可ですが、公共性の高い事業の用に供する場合等は許可されます(第1種農地よりは厳しい)。 

第一種農地 

農業公共投資(土地改良事業等)の対象となった農地、集団農地、生産力の高い農地で、例えば20ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地等、良好な営農条件を備えている農地です。 
農地転用は原則不許可ですが、公共性の高い事業の用に供する場合等は許可されます。 

第2種農地 

近い将来、市街地として発展する環境にある農地や農業公共投資の対象となっていない生産力の低い小団地の農地で、例えば鉄道の駅が500m以内にあるなど市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地です。
周辺の他の土地が転用できない場合は許可されます。 

第3種農地 

都市的施設の整備された区域内の農地や市街地内の農地で、例えば鉄道の駅が300m以内にあるなどの市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地です。 農地転用は原則許可されます。

農用地区域内農地 

農地には約10年間農業を推進するための「農業振興地域」という特別に法律で制限された土地があります。
さらにその中には農用地の利用確保として「農用地区域」というものがあります。 
農用地区域はさらに「農地」「採草放牧地」「農業用施設用地」「混牧林地」に分けられています。 
農用地区内の土地では、原則として農用地以外の用途で利用することはできません。 


農地法による用語の説明


農地

耕作の目的に供される土地。 

採草放牧地

農地以外の土地で主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるもの。 

農業用施設用地

耕作又は養畜の業務のために必要な農業用施設で、農林水産省令で定めるものの用に供される土地。 

混牧林地

木竹の育成に供され、併せて耕作又は養畜の業務のための採草又は家畜の放牧の目的に供される土地。
農地の宅地造成・宅地造成とは森林や農地、または、すでに宅地ではあるが、建物を建てるために工事が必要な宅地化をさします。
そして建物を建てようとした土地が宅地造成工事規制区域内にある場合には、工事開始前に知事の許可を得なけらばいけません。 


宅地造成となる工事とは

 
1. 切土(きりど)→土地を削って2mを超える崖ができる場合。
2. 盛土(もりど)→土地に土を盛って1mを超える崖ができる場合。
3. 盛土の部分に1m以下の崖ができ、かつ、切土と盛土とを合計し、その部分に2mを超える崖ができる場合。
4. 上記の1~4以外で面積が500㎡を超える切土や盛土の場合。
※造成工事は崖崩れ防止や災害防止のために必要な措置を行わなければならないので、知事はそのために必要な条件を付けて許可を与えることがあります。
※高さ5mを超える擁壁の設置など一定の工事の場合には,政令で定める資格を有する者が設計したものでなければなりません。
※崖とは地表面が水平面に対し30度をこえる角度をなす土地で硬岩盤(風化の著しいものを除く)以外のものをいいます。 


許可の必要がない工事の場合

 
宅地造成工事規制区域が指定された時に,すでに宅地造成工事に着手しているときは区域指定があった日から21日以内に知事に届出なければなりません。
宅地造成工事規制区域内で,宅地以外の土地を宅地に転用したときは,転用した日から14日以内に知事に届出なければなりません。 

※造成工事後は知事の許可を受けて行った宅地造成完了後に造成主(工事注文者)は知事の検査を受けなければなりません。

この検査に合格すれば知事は造成主に検査済証を交付しなければなりません。 


その他


・宅地造成工事規制区域内で無許可で宅地造成工事が行われた場合、知事は無許可者に弁明の機会の付与を与えた後で、工事の停止・宅地の使用禁止等を命ずることができます。
・宅地造成工事規制区域内の宅地を除いて、知事は必要に応じ災害防止措置を取るよう命令又は勧告をすることができます。
・宅地造成規制区域内の宅地の所有者は、その宅地を常に安全な状態に維持するよう努めなければなりません。 


農地転用の申請方法


自分の農地であっても無断で他人に売ったり、家を建てたりすると法律により処罰されることになります。(300万円以下又は3年以下の懲役)
工事中のものについては工事停止命令。工事完成のものには原状回復命令を受けることがあります。 

農地に関する変更には以下の3つのものがあります。 

権利移動(農地法第3条) 

農地を農地のまま、本人以外の者に売ったりあげたりすることです。
無許可で行うと契約は無効になります。 3条による農地取得では下記の条件を全て満たす必要があります。 

・所有権の移転を受け、又は賃借権、使用貸借権の設定を受けようとする者又はその世帯員が、農業に供すべき農地のすべてについて耕作していること。
・所有権の移転を受け、又は賃借権、使用貸借権の設定を受けようとする者又はその世帯員に、農作業に常時従事している者がいること。
・権利取得後の経営面積(下限面積)が必要以上あること。 (法律上は5000㎡ですが、地域の状況により下限面積は変更することができるので各市町村で違いがあります。)
・権利を取得する者の農業経営の状況、住所地から取得しようとする農地までの距離等から当該農地を効率的に利用すると認められること。 

●自分の住んでいる市町村内の農地を取得する場合→農業委員会の許可
●自分の住んでいる市町村外の農地を取得する場合→知事の許可 


転用(農地法第4条)

 
自分の農地を宅地や他の用途に変更することです。 

●面積が4ha(4000㎡)以下の場合→知事の許可
●面積が4ha(4000㎡)を超える場合→農林水産大臣の許可 

転用目的権利移動(農地法第5条)

 
農地を宅地や他の用途に変更し、本人以外の者にその権利を移転することです。 

●面積が4ha(4000㎡)以下の場合→知事の許可
●面積が4ha(4000㎡)を超える場合→農林水産大臣の許可 

遺産相続で農地を取得した場合は許可は不要です。
4・5条の場合で市街化区域内の農地なら農業委員会への届出だけで大丈夫です。 

★農地転用の申請をする場合、転用許可が与えられるのは申請をした本人であり、別の者がその許可をもって家を建てたりすることはできません。
★家を建てる場合「一般住宅」での申請では500㎡、「農家住宅」では1000㎡が大体の限度となっています。
許可取得日数について各市町村において申請締切日が毎月あったり、隔月であったりと若干違いますが、おおよそ、3条許可申請では1ヶ月以内、4、5条許可申請では2ヶ月くらいかかります。 

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