2006年の会社法改正により、企業経営は様々な変化が柔軟に出来るようになりました。
有限会社から株式会社への商号変更、取締役会の廃止、監査役の廃止、解散事由の廃止、役員の 任期の伸長、株券不発行、役員変更、事業目的の追加、本店移転、増資など、定款を変更するだけで、そのタイミングでやりたいことをやっていけるようになったのです。
例えば、以下のような変更が可能になりました。
従来の有限会社は『特例有限会社』として今後も存続して行くことが出来ますが、 商号変更することによって株式会社となることができます。
このためには株主総会の特別決議により定款変更を行い、 特例有限会社の解散の登記と株式会社の設立の登記をする必要があります。
有限会社のメリットには「役員の任期が無期限」「決算公告義務がない」「平成18年以前に設立した会社であることが第三者にすぐわかる」ことがあります。
従来の株式会社は監査役および取締役会を必ず設置しなくてはいけませんでしたが、今後は監査役や取締役会の設置は任意となります。
取締役を一人にすることも可能です。
また、これまで2年に一度の役員変更登記が強制されていましたが、定款に定めることにより、取締役と監査役の任期を最大10年まで伸長することが出来ます。
会計参与制度が新しく導入されました。
税理士や公認会計士に限り就任することが出来ます。
取締役と共同で計算書類を作成することで、対外的信用を高めることに貢献します。
会計参与、監査役、社外取締役の設置に際しての会社に対する賠償責任を制限することも可能です。
総株主の同意があれば取締役を含む役員などの任務懈怠に基づく会社への損害賠償責任は総株主の同意により免除されます。
取締役が2人以上の監査役設置会社または委員会設置会社は、あらかじめ一定の事項・要件を定款で定めることにより下記の額を限度として株主総会決議によらず責任の一部免除を行うことが出来ます。
会計参与、社外取締役、監査役の会社に対する賠償責任を制限することも可能です。
ただし、取締役が自己のためにした取引については適用がありません。
この定めを定款に盛り込むには監査役設置会社であることが必要です。
従来の株式会社は株券を発行することが原則でしたが、これからは原則不発行となります。
しかし、会社法施行前から存続する株式会社はこれまで通り株券を発行するものと『みなされます』ので、株券を発行しない会社は定款を変更して株券不発行にする手続が必要になります。
株式のすべてを発行していない株券発行会社は、株主に対し、定款変更の2週間前までに株主等に対し一定の事項を通知しておく必要があります。
なお、公告することによって、この手続を省略することも出来ます。
譲渡制限株式について定款で定めることにより、相続・合併などにより株式を取得した者に対し、当該株式の売渡請求をすることが出来るようになります。
相続による将来の株式分散を防いで、上手に事業承継を行い経営を安定させるため、定款変更が大変有効です。
定款で売渡請求権について定めた会社は、相続その他一般承継によって当該株式を取得した者に対し、その相続等があったことを知った日から1年以内に株主総会の決議によって一定の事項を定めたうえで当該株主に請求しなくてはいけません。
売買価格は当事者の協議によって定めることになりますが、売渡請求があった日から20日以内に裁判所に対し売買価格の決定を申し立てることが出来ます。
最低資本金規制特例を利用して設立した会社は、5年以内に株式会社なら一千万円、有限会社なら三百万円まで増資できなかったら解散する、 という『解散事由』が定款と登記簿に記載されています。
せっかく会社法が施行されて資本金の規制が撤廃されたのに、このまま5年以内に従来の最低資本金まで増資できなかった場合、解散しなくてはならなくなるのです。
まだ増資をしていない確認会社は、この『解散事由』を外す必要があります。
●合名会社⇒合同会社
無限責任社員をすべて有限責任社員とする定款変更によって、合名会社から合同会社へ変更することが出来ます。
●合資会社⇒合同会社
一部の無限責任社員を有限責任社員とする定款変更によって、合資会社から合同会社へ変更することが出来ます。
この場合、合同会社の有限責任社員となる社員が、合同会社に対する出資にかかる払込及び給付をすべて履行していないときは、その払込及び給付が完了した日にその定款変更の効力が生じます。
会社の種類を他の持ち分会社に変更した場合、定款変更の効力が生じた日から2週間以内に変更前の持ち分会社の解散登記、変更後の持ち分会社の設立登記をしなくてはなりません。